佐用郡(さよぐん、さようぐん)は、兵庫県播磨国)の。1896年に岡山県美作国吉野郡の一部を編入している。

兵庫県佐用郡の位置(緑:佐用町 薄緑:後に他郡から編入した区域)

人口14,311人、面積307.44km²、人口密度46.5人/km²。(2024年11月1日、推計人口

以下の1町を含む。

郡域

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1879年明治12年)に行政区画として発足した当時の郡域は、佐用町の大部分(大酒・小赤松・漆野・西下野・下三河・中三河・上三河・河崎・船越・桑野・海内・下石井・上石井・水根・奥海・若州・東中山を除く)にあたる。

歴史

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元来は「さよぐん」であったが、1955年昭和30年)3月1日の合併で佐用町が「さようちょう」と称したことから、「さようぐん」と読まれることも多くなっている[1]

近世以降の沿革

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知行 村数 村名
幕府領 幕府領 16村 下櫛田村、宝蔵寺村、久保村、三原村、弦谷村、廣山村、才元村、平尾村、来見村、田和村、金子村、桜山村、植木谷村、西河内村、仁方村、豊福村
旗本領 19村 口金近村、奥金近村、円応寺村、佐用村、長尾村、平谷村、末包村、大畠村、淀村、福沢村、○本位田村、宗行村、横坂村、口長谷村、奥長谷村、平福村、正吉村、庵村、友延村
藩領 播磨三日月藩 40村 西新宿村、大日山村、小日山村、西大畠村、須安村、宇根村、金屋村、力万村、寄延村、目高村、上秋里村、下秋里村、上月村、久崎村、家内村、奥多賀村、口多賀村、安川村、大畑村、大下村、三日月村、上本郷村、下本郷村、真宗村、志文村、春哉村、乃井野村、東新宿村、島脇村、土井村、米田村、小山村、中島村、林崎村、下徳久村、西徳久村、東徳久村、平松村、真盛村、山脇村
播磨安志藩 10村 仁位村、円光寺村、上櫛田村、三尾村、早瀬村、中山村、蔵垣内村、大垣内村、本郷村、皆田村[3]
幕府領・藩領 旗本領・播磨龍野藩 1村 大猪伏村
旗本領・安志藩 1村 山田村
  • 明治2年(1869年) - 旗本領が兵庫県の管轄となる。
  • 明治3年(1870年)11月 - 兵庫県の管轄地域が生野県の管轄となる。
  • 明治4年
  • 明治8年(1875年)(81村)
    • 才元村・金子村が合併して才金村となる。
    • 平尾村・蔵垣内村が合併して福吉村となる。
    • 来見村・田和村が合併して福中村となる。
    • 植木谷村・大猪伏村が合併して大木谷村となる。
    • 奥多賀村・口多賀村が合併して多賀村となる。
    • 平谷村が豊福村に合併。
  • 明治9年(1876年)(78村)
    • 8月21日 - 第2次府県統合により兵庫県の管轄となる。
    • 久保村・東新宿村・島脇村が合併して末廣村となる。
    • 下櫛田村・上櫛田村が合併して櫛田村となる。
  • 明治12年(1879年1月8日 - 郡区町村編制法の兵庫県での施行により、行政区画としての佐用郡が発足。郡役所が佐用村に設置。
  • 明治14年(1881年) - 正吉村・友延村が合併して延吉村となる。(77村)

町村制以降の沿革

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1.佐用村 2.長谷村 3.平福村 4.江川村 5.幕山村 6.西庄村 7.久崎村 8.中安村 9.徳久村 10.大広村 11.三日月村(橙:佐用町)
  • 明治22年(1889年4月1日 - 町村制の施行により、下記の各村が発足。全域が現・佐用町。(11村)
    • 佐用村 ← 佐用村、山脇村、真盛村、山田村、長尾村、本位田村、円応寺村
    • 長谷村 ← 口長谷村、奥長谷村、奥金近村、口金近村、横坂村、宗行村
    • 平福村 ← 平福村、庵村、延吉村
    • 江川村 ← 豊福村、淀村、末包村、大畠村、福沢村、仁方村、西河内村、大木谷村
    • 幕山村 ← 福吉村、本郷村、大垣内村、皆田村、才金村、桜山村、福中村、中山村、金屋村
    • 西庄村 ← 力万村、須安村、宇根村、西大畠村、小日山村、目高村、寄延村、上月村、仁位村、早瀬村
    • 久崎村 ← 久崎村、家内村、櫛田村、円光寺村、上秋里村、下秋里村、西新宿村、大日山村
    • 中安村 ← 中島村、多賀村、米田村、安川村、宝蔵寺村、土井���、小山村
    • 徳久村 ← 下徳久村、林崎村、西徳久村、東徳久村、平松村
    • 大広村 ← 末廣村、廣山村、弦谷村、大畑村、大下村、三原村、三尾村
    • 三日月村 ← 三日月村、乃井野村、下本郷村、上本郷村、真宗村、春哉村、志文村
  • 明治29年(1896年
  • 大正12年(1923年)4月1日 - 郡会が廃止。郡役所は存続。
  • 大正15年(1926年)7月1日 - 郡役所が廃止。以降は地域区分名称となる。
  • 昭和3年(1928年10月1日(2町10村)
    • 佐用村が町制施行して佐用町が発足。
    • 平福村が町制施行して平福町が発足。
  • 昭和9年(1934年)4月1日 - 三日月村が町制施行して三日月町が発足。(3町9村)
  • 昭和15年(1940年3月1日 - 久崎村が町制施行して久崎町が発足。(4町8村)
  • 昭和30年(1955年
    • 3月1日 - 佐用町(さよちょう)・長谷村・平福町・石井村・江川村が合併して佐用町(さようちょう)が発足。(3町5村)
    • 3月25日(4町3村)
      • 久崎町が赤穂郡赤松村の一部(大酒・小赤松および旭日のうち字抜位)を編入。
      • 幕山村・西庄村が合併して上月町が発足。
    • 3月31日 - 大広村・三日月町が合併し、改めて三日月町が発足。(4町2村)
    • 7月20日 - 中安村・徳久村が宍粟郡三河村と合併して南光町が発足。(5町)
  • 昭和33年(1958年6月15日 - 上月町・久崎町が合併し、改めて上月町が発足。(4町)
  • 平成17年(2005年)10月1日 - 佐用町・上月町・南光町・三日月町が合併し、改めて佐用町が発足。(1町)

変遷表

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自治体の変遷
明治22年以前 明治22年4月1日 明治22年 - 昭和19年 昭和20年 - 昭和29年 昭和30年 - 昭和63年 平成1年 - 現在 現在
佐用村 昭和3年10月1日
町制
佐用町 昭和30年3月1日
佐用町
平成17年10月1日
佐用町
佐用町
平福村 昭和3年10月1日
町制
平福町
長谷村 長谷村 長谷村
江川村 江川村 江川村
吉野郡
讃甘村の一部
明治29年4月1日
江川村に編入
吉野郡石井村
6月1日
明治29年4月1日
佐用郡
石井村
三日月村 昭和3年10月1日
町制
三日月町 昭和30年3月31日
三日月町
大広村 大広村 大広村
久崎村 昭和15年3月1日
町制
久崎町 久崎町 昭和33年6月15日
上月町
赤穂郡
赤松村の一部
赤穂郡
赤松村の一部
赤穂郡
赤松村の一部
昭和30年3月25日
久崎町に編入
幕山村 幕山村 幕山村 昭和30年3月25日
上月町
西庄村 西庄村 西庄村
中安村 中安村 中安村 昭和30年7月20日
南光町
徳久村 徳久村 徳久村
宍粟郡
三河村
宍粟郡
三河村
宍粟郡
三河村

行政

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歴代郡長
氏名 就任年月日 退任年月日 備考
1 明治12年(1879年)1月8日
大正15年(1926年)6月30日 郡役所廃止により、廃官

脚注

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  1. ^ (角川日本地名大辞典 1988, p. 685)
  2. ^ 領主から年貢免除の特権を与えられた土地。
  3. ^ 記載は海田村。

参考文献

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  • 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 28 兵庫県、角川書店、1988年9月1日。ISBN 4040012801 
  • 旧高旧領取調帳データベース