ヴィルヘルム・バッツ
ヴィルヘルム・バッツ(ドイツ語: Wilhelm "Willi" Batz、1916年5月21日 - 1988年9月11日)は、ドイツの軍人。第二次世界大戦では、総出撃回数445回、総撃墜数237機の戦果を上���たトップ・エースである(そのうち234機は独ソ戦で撃墜したものである)。そのなかで彼自身4回撃墜され、3回負傷している。また、アメリカ陸軍航空軍との戦闘のさなかエンジンが火を噴いたこともある。
ヴィルヘルム・バッツ Wilhelm Batz | |
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渾名 | ヴィリー |
生誕 |
1916年5月21日 ドイツ帝国 バンベルク |
死没 |
1988年9月11日(72歳没) 西ドイツ ウンターフランケン |
所属組織 |
ドイツ国防軍空軍 ドイツ連邦軍空軍 |
軍歴 |
1935–45 (国防軍) |
最終階級 |
少佐(Major、国防軍) |
多くの撃墜数を誇るその戦果により騎士鉄十字章を受章した。
経歴
編集バッツは1916年5月21日にドイツ帝国バンベルクに生まれた。幼いころからマンフレート・フォン・リヒトホーフェンに憧れ、自身もパイロットを目指して育った[1]。
1937年、カウフボイレンの航空学校やバード・アイブリングのパイロット養成学校の教官に就任した。第二次世界大戦勃発後の1940年11月に少尉に昇進したが、彼の参戦志願は頻繁に却下されていた。
1942年12月、総飛行5000時間を超えた彼は東部予備戦闘飛行隊を経て、ようやく第52戦闘航空団(JG52)へ配属された[2]。
1943年3月11日、ケルチ海峡上空でソ連の攻撃機Il-2を撃墜し、彼は初の戦果を上げた[3]。1943年5月、彼はJG52第5飛行中隊中隊長に任命され、その年の9月までに20機を撃墜した。
1944年3月26日、75機撃墜の功績によって騎士鉄十字章が贈られたが、その僅か2日後に100機撃墜を記録している[4]。
同年4月、バッツはJG52第III飛行隊飛行隊長に任命された。6月には、彼の部隊はアメリカの第15遠征機動任務部隊からルーマニアの油田を守るため運用された。そのとき、彼はアメリカの戦闘機P-51を2機、同爆撃機B-24を1機それぞれ撃墜している。大尉へと昇進した彼は、188機撃墜の功績により柏葉付騎士鉄十字章を贈られた。8月17日にはついに撃墜数200機を記録した。1944年の内に彼は224機の敵機を撃墜している。
1945年2月、バッツはJG52第II飛行隊飛行隊長に任命され、ハンガリーに移った。少佐となった彼は、1945年4月21日に柏葉・剣付騎士鉄十字章を贈られた。戦争終結までに彼の部隊はハンガリー及びオーストリアから脱出し、アメリカに明け渡してドイツに戻ったため、JG52の他の二部隊のように長年ソヴィエトに拘束されずに済んでいる。
叙勲
編集注釈
編集脚注
編集- ^ Toliver 1996, p. 165.
- ^ Kurowski 1996, p. 173.
- ^ Kurowski 1996, p. 174.
- ^ Berger 2000, p. 23.
- ^ Patzwall 2008, p. 45.
- ^ Obermaier 1989, p. 41.
- ^ Patzwall & Scherzer 2001, p. 26.
- ^ a b Thomas 1997, p. 23.
- ^ a b c Scherzer 2007, p. 204.
- ^ Fellgiebel 2000, pp. 48, 49.
参考文献
編集- Berger, Florian (1999) (ドイツ語). Mit Eichenlaub und Schwertern. Die höchstdekorierten Soldaten des Zweiten Weltkrieges [柏葉・剣付 第二次世界大戦における最も飾り立てられて兵士たち]. Vienna, Austria: Selbstverlag Florian Berger. ISBN 978-3-9501307-0-6
- Fellgiebel, Walther-Peer (2000) (ドイツ語). Die Träger des Ritterkreuzes des Eisernen Kreuzes 1939–1945 – Die Inhaber der höchsten Auszeichnung des Zweiten Weltkrieges aller Wehrmachtteile [騎士鉄十字章の受勲者 1939–1945 — 第二次世界大戦におけるドイツ国防軍の最高位勲章の所持者]. Friedberg, Germany: Podzun-Pallas. ISBN 978-3-7909-0284-6
- Kurowski, Franz (1996) (英語). Luftwaffe Aces [ルフトバッフェのエース]. Winnipeg, Canada: J.J. Fedorowicz Publishing Inc. ISBN 978-0-921991-31-1
- Kurowski, Franz (2008) (ドイツ語). Major Wilhelm Batz Vom Fluglehrer zum Schwerterträger [飛行教官から騎士鉄十字章を手にしたヴィルヘルム・バッツ少佐]. Würzburg, Germany: Flechsig. ISBN 978-3-88189-765-5
- Obermaier, Ernst (1989) (ドイツ語). Die Ritterkreuzträger der Luftwaffe Jagdflieger 1939 – 1945 [ドイツ空軍の騎士鉄十字章受勲者 1941–1945]. Mainz, Germany: Verlag Dieter Hoffmann. ISBN 978-3-87341-065-7
- Patzwall, Klaus D.; Scherzer, Veit (2001) (ドイツ語). Das Deutsche Kreuz 1941 – 1945 Geschichte und Inhaber Band II [ドイツの十字 1941–1945 歴史と受勲者 第2巻]. Norderstedt, Germany: Verlag Klaus D. Patzwall. ISBN 978-3-931533-45-8
- Patzwall, Klaus D. (2008) (ドイツ語). Der Ehrenpokal für besondere Leistung im Luftkrieg [航空戦での特別な戦果を讃える名誉杯]. Norderstedt, Germany: Verlag Klaus D. Patzwall. ISBN 978-3-931533-08-3
- Schaulen, Fritjof (2003) (ドイツ語). Eichenlaubträger 1940 – 1945 Zeitgeschichte in Farbe I Abraham – Huppertz [柏葉付の受勲者 1940–1945 カラーの現代史第1巻 Abraham – Huppertz]. Selent, Germany: Pour le Mérite. ISBN 978-3-932381-20-1
- Scherzer, Veit (2007) (ドイツ語). Die Ritterkreuzträger 1939–1945 Die Inhaber des Ritterkreuzes des Eisernen Kreuzes 1939 von Heer, Luftwaffe, Kriegsmarine, Waffen-SS, Volkssturm sowie mit Deutschland verbündeter Streitkräfte nach den Unterlagen des Bundesarchives [騎士鉄十字章の受勲者 1939–1945。連邦アーカイブ文書に基づくドイツ陸軍、空軍、海軍、武装親衛隊、国民突撃隊、同盟軍における1939年の騎士鉄十字章の受勲者]. Jena, Germany: Scherzers Miltaer-Verlag. ISBN 978-3-938845-17-2
- Thomas, Franz (1997) (ドイツ語). Die Eichenlaubträger 1939–1945 Band 1: A–K [柏葉付受勲者 1939–1945 第1巻: A–K]. Osnabrück, Germany: Biblio-Verlag. ISBN 978-3-7648-2299-6
- Toliver, J. Constable; Toliver, F. Raymond (1996) (英語). Fighter Aces of the Luftwaffe [戦闘機を駆ったルフトバッフェのエース達]. Schiffer Military/Aviation History. Atglen, PA. ISBN 0-88740-909-1
- Weal, John (2004) (英語). Jagdgeschwader 52: The Experten (Aviation Elite Units) [第52戦闘航空団:エクスペルテン(航空精鋭部隊)]. Oxford, UK: オスプレイ・パブリッシング. ISBN 978-1-84176-786-4