レミニセンス (2021年の映画)
『レミニセンス』(原題:Reminiscence)は、2021年のアメリカ合衆国のSFサスペンススリラー映画。リサ・ジョイが監督・脚本を務めて長編監督デビューを飾り、ヒュー・ジャックマン、レベッカ・ファーガソン、タンディ・ニュートン、ダニエル・ウー、クリフ・カーティス、マリーナ・デ・タビラ、モージャン・アリア、ブレット・カレン、ナタリー・マルティネス、アンジェラ・サラフィアン、ニコ・パーカーが出演する。PG12指定。
レミニセンス | |
---|---|
Reminiscence | |
監督 | リサ・ジョイ |
脚本 | リサ・ジョイ |
製作 |
ジョナサン・ノーラン リサ・ジョイ マイケル・デ・ルカ アーロン・ライダー |
出演者 |
ヒュー・ジャックマン レベッカ・ファーガソン タンディ・ニュートン ダニエル・ウー クリフ・カーティス ブレット・カレン |
音楽 | ラミン・ジャヴァディ |
撮影 | ポール・キャメロン |
編集 | マーク・ヨシカワ |
製作会社 |
キルター・フィルム マイケル・デ・ルカ・プロダクションズ フィルムネーション・エンターテインメント |
配給 | ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ |
公開 |
2021年8月20日 2021年9月17日 |
上映時間 | 116分[1] |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $54,000,000 - 68,000,000[2][3] |
興行収入 |
$15,800,193[4] 2億3300万円[5] |
2021年8月20日にワーナー・ブラザース・ピクチャーズからアメリカで劇場公開され、ストリーミングサービスのHBO Maxでも1か月間同時公開された[6][7]。批評家からは野心的な面を評価される一方、『マルタの鷹』『ウエストワールド』などの類似作品の影響から抜け出せていないと酷評されている[8][9]。また、興行的にはボックスオフィス・ボムと判断され[10]、損益分岐点が1億1000万ドルと言われる中で興行収入が1500万ドルという結果に終わっている[2][4]。
ストーリー
編集海面が上昇した近未来のマイアミに住む、無骨で孤独な退役軍人のニック・バニスター(ヒュー・ジャックマン)は、顧客が望むあらゆる記憶を追体験させる機会を提供するという、危険な職業の専門家である。ある日、彼の人生は、メイ(レベッカ・ファーガソン)という謎めいた若い女性との出会いによって一変する。最初は単なる探し物を端緒とした関係であったが、やがてメイとの関係は情熱的な恋愛へと発展する。しかし、別の依頼人の記憶がメイを凶悪犯罪に巻き込んでしまったため、バニスターは過去の暗い世界を掘り下げて、自分が愛した女性の真実を明らかにしなければならなくなる。
キャスト
編集※括弧内は日本語吹替[11]。
- ニック・バニスター - ヒュー・ジャックマン(山路和弘)
- メイ - レベッカ・ファーガソン(北西純子)
- エミリー・“ワッツ”・サンダース - タンディ・ニュートン(浅野まゆみ)
- セント・ジョー - ダニエル・ウー(三上哲)
- サイラス・ブース - クリフ・カーティス(丸山壮史)
- ウォルター・シルヴァン - ブレット・カレン(広瀬彰勇)
- ゾーイ - ニコ・パーカー[12][13]
- エルサ・カリーン - アンジェラ・サラフィアン
- エイヴリー・カスティッロ - ナタリー・マルティネス
- タマラ・シルヴァン - マリーナ・デ・タビラ
- セバスチャン・シルヴァン - モージャン・アリア
- ハンク - ハビエル・モリーナ
- フォークス - サム・メディナ
- ハリス - ノリオ・ニシムラ
- フレディ - ロクストン・ガルシア
製作
編集2019年1月、リサ・ジョイが本作で監督デビューすることが発表され、ヒュー・ジャックマンとレベッカ・ファーガソンが出演することが明らかになった[14]。2019年3月には、ワーナー・ブラザースが本作の配給権を購入したことが報じられた[15]。8月には、タンディ・ニュートンがキャストに追加され[16]、10月にはダニエル・ウー、アンジェラ・サラフィアン、ナタリー・マルティネス、マリーナ・デ・タビラ、クリフ・カーティスが加わった[17][18]。撮影は2019年10月21日にニューオーリンズとマイアミで開始された[19] 。
公開
編集『レミニセンス』は、2021年8月20日にワーナー・ブラザース・ピクチャーズから米国で公開された[6]。当初は2021年4月16日に公開される予定だったが[20]、COVID-19のパンデミックの影響で、公開日程の枠が『モータルコンバット』に変更され、本作は上映予定が未定となった[21]。その後、アメリカでの劇場公開は2021年9月3日、海外での劇場公開は2021年8月25日から、と改めて設定された[22]。しかし、その後もアメリカでの公開日は『シャン・チー/テン・リングスの伝説』との競合を避けるために8月27日に繰り上げられ、さらに8月20日に繰り上げられることとなった。また、配給を担当するワーナー・ブラザースは映画計画の一環として、本作を含む2021年公開の17本の映画を劇場公開と同時にHBO Maxでストリーミング配信する方針を発表した[7]。その後、通常の家庭用メディアでの公開スケジュール期間まで削除することにした[7]。
評価
編集興行収入
編集バラエティ誌は、『レミニセンス』が損益分岐点を超えるためには1億1000万ドルの興行収入が必要と指摘している[2]。
北米では『パウ・パトロール ザ・ムービー』『ザ・プロトジェ』『ナイト・ハウス』『Flag Day』と同日公開され、オープニング週末の興行収入は195万ドル(3265劇場)を記録した[23]。公開初日の興行収入は67万5000ドルで、オープニング週末興行成績は第9位だった[3][24]。3000劇場以上で公開された映画としては、2020年1月公開の『リズム・セクション』の記録(270万ドル)を抜いて歴代ワースト記録を塗り替えた[25]。公開第2週末の興行収入は前週比59%減の79万2408ドルだった[26]。
批評
編集Rotten Tomatoesでは180件の批評が寄せられ、支持率37%、平均評価5.1/10となっており、批評家の一致した批評は「『レミニセンス』には物語的な野心がないわけではないが、SFアクションとノワール・スリラーの不確かな融合は、これよりも素晴らしい映画の記憶を呼び起こすだろう」となっている[27]。Metacriticでは42件の批評に基づき46/100のスコアを与えており[28]、CinemaScoreではC+評価、ポストトラックでは67%が好意的な評価を与えている[3]。
バラエティ誌に寄稿したオーウェン・グレイバーマンは映画を「過去に観たことがあるものを完璧に調整した2時間の蜃気楼」と表現し、「『ブレードランナー』のようでもあり、『ゴッドファーザー』のようでもある。ビルや路地が残る水浸しのマイアミの風景は、『ウォーターワールド』や『ハンガー・ゲーム』シリーズの続編を思い起こさせる」と批評している[29]。シカゴ・サンタイムズのリチャード・ローパーは2/4の星を与え、「『チャイナタウン』に向かう『バニラ・スカイ』のどこかで、『マルタの鷹』と『インセプション』が出会ったかのような独創的で野心的な作品だ。しかし、荒々しくて複雑な、そして最終的に失望させられるSFノワール『レミニセンス』は、あちらこちらへ進んでいくが、最後にはレールを外れてしまう」と批評している[30]。『ザ・プレイリスト』に出演したニック・アレンはB+評価を与え、「知的で感情的なスリルが詰まった珠玉の作品」と批評し、さらにヒュー・ジャックマンとレベッカ・ファーガソンの演技を高く評価している[31]。
Blu-ray/4K ULTRA HD/DVD
編集ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメントよりBlu-ray Disc、DVD、4K ULTRA HD、が発売。NBCユニバーサルが販売。
出典
編集- ^ “Reminiscence (12A)”. British Board of Film Classification (August 8, 2021). August 15, 2021閲覧。
- ^ a b c Rubin, Rebecca (August 23, 2021). “Hugh Jackman's 'Reminiscence' Crumbles With $2 Million Debut, Highlighting the Struggle of Movies Aimed at Older Audiences”. Variety. August 24, 2021閲覧。
- ^ a b c D'Alessandro, Anthony (August 21, 2021). “'Free Guy' Holding Up Against Pandemic With $17M+; 'Paw Patrol' Arrests $13M+ – Box Office”. Deadline Hollywood. August 21, 2021閲覧。
- ^ a b “Reminiscence” (英語). Box Office Mojo. October 1, 2021閲覧。
- ^ 『キネマ旬報』 2022年3月下旬特別号 p.35。
- ^ a b Grobar, Matt (May 3, 2021). “‘Reminiscence’: Warner Bros. Sci-Fi Pic From ‘Westworld’ Co-Creator Lisa Joy Going A Week Earlier In August” (英語). Deadline Hollywood. May 6, 2021閲覧。
- ^ a b c Rubin, Rebecca (December 3, 2020). “Warner Bros. to Debut Entire 2021 Film Slate, Including 'Dune' and 'Matrix 4,' Both on HBO Max and In Theaters”. Variety. December 3, 2020閲覧。
- ^ Grobar, Anthony D'Alessandro,Matt (2021年5月4日). “‘Reminiscence’: Warner Bros. Sci-Fi Pic From ‘Westworld’ Co-Creator Lisa Joy Going A Week Earlier In August” (英語). Deadline. 2021年9月3日閲覧。
- ^ “Reminiscence Doesn't Leave Much of an Impression”. Rotten Tomatoes. Fandango Media. August 22, 2021閲覧。
- ^ “Hugh Jackman’s New Movie Is A Record-Setting Box Office Bomb”. Wegotthiscovered.com. 2021年11月5日閲覧。
- ^ “『レミニセンス』ブルーレイ&DVD、2022年1月7日リリース決定 ─ 山路和弘ら豪華キャストの吹替版も収録”. THE RIVER. 2021年11月5日閲覧。
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