ミルファーム
有限会社ミルファームは、北海道浦河郡浦河町にある競走馬の生産牧場および馬主(オーナーブリーダー)である。
種類 | 有限会社 |
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本社所在地 |
日本 〒057-0026 北海道浦河郡浦河町字向別256番地 |
設立 | 1996年 |
業種 | 水産・農林業 |
法人番号 | 4430002062405 |
事業内容 | 総合牧場 |
代表者 | 代表取締役 清水 敏 |
従業員数 | 18名 |
来歴
編集1964年、清水敏は和歌山県和歌山市で誕生、家族や周辺に競馬関係者はいなかった[2]。1983年、弁護士になるために慶應義塾大学法学部に進学し、在学中には中国上海市の復旦大学に留学した経験もある[2]。就職先として1社のみを志望し、野村證券株式会社に就職した。岐阜支店に配属されて営業を担当し、同期の中でもトップクラスの営業成績を残していた[3]。
その後は、大阪支店に異動。配属された事業法人部は、営業業務に比べて時間を持て余していた[3]。そこで、初めて乗馬を体験したところ、楽しく感じた。やがて頻繁に通うようになり、サラブレッド生産牧場経営を志望するようになった[3]。そこで、競馬雑誌などに掲載された生産者に手紙で連絡を取ったところ、計���に賛同したビッグレッドファーム代表の岡田繁幸と接触した[4]。1994年、野村證券を退職し、ビッグレッドファームに転職。大阪から北海道静内町にパートナーとともに移住し、結婚。妻の万樹子も同様に野村證券を退職し、ビッグレッドファームに転職した。夫婦で独立のために2年間修業を行った[4]。
夫婦に貯蓄がなかったことから両親に金を借り、撤退寸前の牧場を900万円ほどで買収した[4]。ビッグレッドファーム退社の後、1996年8月に独立。浦河町向別に生産牧場「ミルファーム」を開業した[5]。「ミル」とは、夫婦の愛犬「ミルフィーユ[5]」の呼称「ミルちゃん」が由来である[2]。
岡田が所有し、それまで柏台牧場[注釈 1]に預けられていた繁殖牝馬のロンバーデルを譲り受け、サラブレッド生産を開始[5]。牧場初年度のロンバーデルには、ビッグレッドファームでの修業中に良い印象を持ったスターオブコジーンを交配。産まれた牡馬は株式会社ユーワに売却された後、ユーワファルコンと命名された。ユーワファルコンは、2000年の中日スポーツ賞4歳ステークス(GIII)を制して、開業4年の牧場に初重賞勝利をもたらした[6]。敏はこの勝利を慶應義塾大学合格、長男誕生と並んで「本当にうれしくて仕方なく、時間が止まればいいと思った出来事[2]」(河村清明)として挙げている。
2008年、騎乗数が著しく減り、生活苦の状況にあった柴田大知にミルファーム所有馬の騎乗依頼を行うようになり、敏はビッグレッドファームの岡田を紹介した[7]。以降、柴田は岡田率いる「マイネル軍団」と呼ばれる馬に多く騎乗するようになった[8]。また敏は、杉原誠人にも多く騎乗依頼を行っている[9]。
2022年7月31日、アイビスサマーダッシュをビリーバーで勝利して馬主として初重賞勝利となった[10]。アイビスSDのコースとなっている直線1,000mにおける出走頭数の多さについては、#多頭出しの項目を参照。
主な生産・所有馬
編集重賞勝ち鞍を太字強調とする。言及ない限り生産馬および所有馬である。
- ユーワファルコン(父:スターオブコジーン、母父:Lombardi、2000年中日スポーツ賞4歳ステークス(GIII)、2001年福島民友カップ(OP))(生産のみ)[6]
- ビリーバー(父:モンテロッソ、母父ネオユニヴァース、2022年アイビスサマーダッシュ(GIII))[11]
- キタウイング(父:ダノンバラード、母父アイルハヴアナザー、2022年新潟2歳ステークス(GIII)、2023年フェアリーステークス(GIII))
- ディーオ(父:プリサイスエンド、母父:Sadler's Wells、2012年東京湾カップ2着、黒潮盃2着)(生産のみ)[12]
- ミナレット(父:スズカマンボ、母父:ウォーニング、2014年ターコイズステークス(OP)、2015年ヴィクトリアマイル(GI)3着)(所有のみ)[13]
- ニホンカイセーラ(父:プリサイスエンド、母父:ハンセル、2014年菊水賞)(生産のみ)[14]
- ジャックポット(父:ダンシングカラー、母父:フォーティナイナー、2016年金沢スプリングカップ3着)(生産のみ)[15]
- オーバースペック(父:プリサイスエンド、母父:キャプテンスティーヴ、2016年新潟2歳ステークス(GIII)2着)
- マンカストラップ(父:プリサイスエンド、母父:ストーミングホーム、2016年すずらん賞(OP)3着)[16]
- ダイイチターミナル(父:コンデュイット、母父:ウイニングチケット、2016年小倉2歳ステークス(GIII)2着)[17]
- ストーミーシー(父:アドマイヤムーン、母父:ゼンノエルシド、2019年朱鷺ステークス(L)、2020年東風ステークス(L)、2016年ニュージーランドトロフィー(GII)2着)[18]
- アルファーティハ(父:パイロ、母父:War Chant、2018年石川ダービー、サラブレッド大賞典)(生産のみ)[19]
- ジュニパーベリー(父:ゴールドシップ、母父:スニッツエル、2019年クリスマスローズステークス(OP)3着)[20]
- ビーマイベイビー(父:ジョーカプチーノ、母父:アグネスデジタル、2020年福島2歳ステークス(OP)3着)[21]
- プルスウルトラ(父:ディスクリートキャット、母父:サウスヴィグラス、2020年カトレアステークス(OP)3着)[22]
- ナミダノキス(父:ホッコータルマエ、母父マンハッタンカフェ、2024年石川優駿)
多頭出し
編集例年、夏の新潟競馬場直線コース、芝1000メートルの未勝利戦へ所有馬を多数出走させる「多頭出し」が見られる。マスコミには「夏の風物詩」(デイリースポーツ[23])「夏のミルファーム祭り」(日刊スポーツ[24]、スポーツニッポン[25])と呼ぶところも存在する。2020年7月の時点で、直線コースが整備された2001年以降、300頭以上出走させており、新潟直線1000メートルの出走数勝利数ともに最多である[24]。
同じく新潟直���芝1000メートルの未勝利戦である、2017年8月5日第2競走[26]、2018年8月4日第2競走[27]、2019年8月3日第4競走[28]では、9頭出しを達成し、同一馬主による1競走出走頭数のJRA最多記録を更新した[29]。さらに2020年7月25日第1競走では、12頭出しを達成し、最多記録をさらに更新している[30]。なお、このレースで勝利したのは、ビッグレッドファーム所有のピュアエールであった。(以下、表も参照のこと)
同一馬主1競走出走頭数JRA最多記録(12頭出し)
編集2020年 (令和2年) 7月25日 新潟競馬場・第2回2日目 第1レース 2歳未勝利・直線1,000m (芝) 曇・稍重
枠番 | 馬番 | 競走馬名 | 性齢 | 騎手 | 斤量 [kg] |
所有 | 生産牧場 | 着順 |
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1 | 1 | ホットスポット | 牝2 | 菅原隆一 | 54 | (有)ミルファーム | 真壁信一 | 16th |
2 | キュムロンニンバス | 牡2 | 菅原明良 | △52 | (有)ミルファーム | ミルファーム | 5th | |
2 | 3 | ハルハル | 牝2 | 杉原誠人 | 54 | (有)ミルファーム | 岡田スタツド | 12th |
4 | テセウス | 牡2 | 嘉藤貴行 | 54 | (有)ミルファーム | ミルファーム | 6th | |
3 | 5 | ベアフューチャー | 牡2 | 小林脩斗 | ▲51 | 熊木浩 | 中山牧場 | 8th |
6 | ウキウキホリデー | 牝2 | 国分優作 | 54 | (有)ビッグレッドファーム | シンカンファーム | 2nd | |
4 | 7 | ミルサクセサー | 牡2 | 西村太一 | 54 | (有)ミルファーム | 岡田スタツド | 10th |
8 | アッシュグレー | 牝2 | 嶋田純次 | 54 | (有)ミルファーム | パカパカファーム | 4th | |
5 | 9 | ピュアエール | 牝2 | 柴田大知 | 54 | (有)ビッグレッドファーム | ヒカル牧場 | 1st |
10 | ヤクモ | 牡2 | 木幡育也 | ☆53 | (有)ミルファーム | ミルファーム | 15th | |
6 | 11 | レゾンデートル | 牝2 | 江田照男 | 54 | (有)ミルファーム | 上井農場 | 13th |
12 | ビヨンドザシーン | 牡2 | 城戸義政 | 54 | (有)ミルファーム | ミルファーム | 11th | |
7 | 13 | ギョベクリテペ | 牝2 | 三浦皇成 | 54 | (有)ミルファーム | 栄進牧場 | 3rd |
14 | イッツアメモリー | 牝2 | 長岡禎仁 | 54 | (有)ミルファーム | 南部功 | 9th | |
8 | 15 | アンジェリケ | 牝2 | 大庭和弥 | 54 | 田頭勇貴 | 藤本ファーム | 14th |
16 | ビーマイベイビー | 牝2 | 岩部純二 | 54 | (有)ミルファーム | ミルファーム | 7th |
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ “【新潟1R】“夏の風物詩”ミルファーム12頭出陣!最多出走記録を大幅更新”. スポニチ Sponichi Annex. スポーツニッポン (2020年7月24日). 2020年8月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月30日閲覧。
- ^ a b c d 『優駿』2000年10月号 108頁
- ^ a b c 『優駿』2000年10月号 109頁
- ^ a b c 『優駿』2000年10月号 110頁
- ^ a b c 『優駿』2000年10月号 111頁
- ^ a b “ユーワファルコン|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2021年7月30日閲覧。
- ^ 平松さとし (2018年2月8日). “大不振を乗り越えた騎手・柴田大知の師匠との複雑な関係、いまむかし(平松さとし) - 個人”. Yahoo!ニュース. 2020年12月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月30日閲覧。
- ^ 平松さとし (2021年5月6日). “4年間未勝利からNHKマイルCを勝つまでになった男の恩人に対する想いとは?”. web.archive.org. Yahooニュース. 2021年5月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月30日閲覧。
- ^ 平松さとし (2021年7月20日). “伯楽・藤沢和雄の弟子が悔やむレースとその理由。そして週末に懸ける想いとは……”. Yahoo!ニュース. 2021年7月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月30日閲覧。
- ^ “【アイビスSD】ビリーバー&杉原誠人騎手、石毛善彦調教師、ミルファーム、モンテロッソ産駒の重賞初制覇 | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2022年8月1日閲覧。
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- ^ “ミナレット|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2021年7月30日閲覧。
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- ^ “ジャックポット|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2021年7月30日閲覧。
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- ^ “プルスウルトラ|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2021年7月30日閲覧。
- ^ “ミルファーム大挙参戦!JRA史上最多の同一馬主12頭出走 土曜新潟1Rで”. デイリースポーツ online. 2020年9月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月30日閲覧。
- ^ a b 三嶋毬里衣 (2020年7月24日). “ミルファーム軍団ビリーバーに注目/アイビスSD”. p.nikkansports.com. 日刊スポーツ新聞社. 2020年7月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月30日閲覧。
- ^ “【新潟未勝利戦】夏のミルファーム祭り!18頭中10頭出し - スポニチ Sponichi Annex ギャンブル”. スポニチ Sponichi Annex. 2021年7月30日閲覧。
- ^ “2歳未勝利|2017年8月5日 | 競馬データベース - netkeiba.com”. db.netkeiba.com. 2021年7月30日閲覧。
- ^ “2歳未勝利|2018年8月4日 | 競馬データベース - netkeiba.com”. db.netkeiba.com. 2021年7月30日閲覧。
- ^ “2歳未勝利|2019年8月3日 | 競馬データベース - netkeiba.com”. db.netkeiba.com. 2021年7月30日閲覧。
- ^ “ミルファーム軍団が土曜新潟1Rに大挙12頭出し”. p.nikkansports.com. 日刊スポーツ新聞社. 2020年10月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月30日閲覧。
- ^ “同一馬主のJRA史上最多出走は3着が最高 新潟1Rでミルファームが12頭出し | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2021年7月30日閲覧。
- ^ “2歳未勝利|2020年7月25日 | 競馬データベース - netkeiba.com”. db.netkeiba.com. 2021年7月30日閲覧。
- ^ “1R サラ系2歳 未勝利|2020年7月25日(土)2回新潟1日|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2021年7月30日閲覧。
- ^ “2020年第2回新潟競馬第2日第1競走”. 日本中央競馬会. p. 1 (2020年7月25日). 2021年7月30日閲覧。
参考文献
編集外部リンク
編集- ミルファーム清水 (@millfarm1996) - X(旧Twitter)
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