ファイルフォーマット
概要
編集コンピュータにおいてメディア(文書、音声、画像、動画)やプログラムはファイルとして保存される。統一された順序・構造でこれらの情報がファイルとして保存されていれば、OSやアプリケーションは一貫した方法でファイルにアクセスし情報を利用できる。これを可能にする、ファイルへの情報格納規格がファイルフォーマット(ファイル形式)である。
通常「ファイルフォーマット」と呼ばれるが、MS-DOSやMicrosoft Windows、UNIX、Unix系などのオペレーティングシステムにおけるファイルはストリーミングデータ(データストリーム)形式であり、正確には「各ファイルに格納されたデータのフォーマット」の事である。
通常ファイルに格納されたデータは、テキストまたはバイナリファイルなので、ファイルの内容だけからはそのファイルフォーマットを知ることが困難な場合がある。このため、ファイル名に拡張子をつけて識別したり、ネットワークでの転送時にはMIMEヘッダ(メディアタイプ)等をあわせて送ったり、といった方法が採られる。このようなメタデータを付与する方法はファイルの内容自体に影響を与えず、またファイルを開くことなく種別を判定できる、という利点がある。しかし、拡張子は簡単に、しかも自由に編集できるため、信頼性は極めて低い。またMIMEタイプはIANAによって正式に登録・標準化されていない独自の文字列をアプリケーションやシステムが勝手に付与することもありうる。そのため、多くのファイルフォーマットは、ファイルの先頭にマジックナンバーと呼ばれる、より確実にファイル形式を識別するための情報を付加する。
さまざまなアプリケーションで扱える標準的なフォーマットもあるが、オペレーティングシステムやアプリケーションによりそのデータ形式は様々である。特定のアプリケーションで扱えるデータ形式に変換するためのファイルコンバータを利用できることがある。
データの区切りの単位に注目した分類
編集- bit(ビット)をデータの区切りの単位とするデータ。例:圧縮されたデータ
- byte(バイト、1byte = 8bit)を単位とするデータ。例:各種アプリケーションのデータファイル
- 文字を単位とするデータ。例:テキストファイル
テキストもバイナリの一種であるが、実際のビット列はエンコーディング時に採用する文字セットに左右される。テキストのデータストリームをデコードする際のヒントとして、ファイル先頭付近にバイト順マークや文字セット名を記載するフォーマットもある。
汎用性に注目した分類
編集- 標準化されたフォーマット
- 国際的な機関で制定されたフォーマット。ファイルフォーマットの例としては、JPEG、MPEGなどがある。標準化機関の例としては、国際標準化機構 (ISO)、日本産業規格 (JIS)、World Wide Web Consortium (W3C) などがある。
- 事実上、業界標準となっているフォーマット
- 後述する「特定のオペレーティングシステム (OS) やアプリケーションに依存するフォーマット」に含まれるが、広く使用され事実上標準(デファクトスタンダード)となっているもの。例としては、GIFやFBX、PDF(米Adobe社、後にISO標準化)などがある。
- 特定のオペレーティングシステム (OS) やアプリケーションに依存するフォーマット
- 各種OSやアプリケーションのデータファイル。例としては、BMP、RTF(Microsoft Windows)など多数ある。
よく知られたファイルフォーマット一覧
編集テキスト、ハイパーテキスト、ドキュメント
編集- プレーンテキスト
- RTF (Rich Text Format)
- HTML (HyperText Markup Language)
- XHTML (Extensible HyperText Markup Language)
- MHTML (MIME Encapsulation of Aggregate HTML Documents)
- TeX
- PDF (Portable Document Format)
- DjVu
- DVI (DeVice Independent)
- CSV (Comma-Separated Values)
オフィススイート 用のフォーマット
編集主なオフィススイート用のフォーマットには以下がある。
- Lotus 1-2-3
- 123、wk3、wk4 など
- 一太郎
- jtd (一太郎 V8 以降)
- Microsoft Officeの独自フォーマット
- doc(Microsoft Wordの独自フォーマットの拡張子)
- xls(Microsoft Excelの独自フォーマットの拡張子)
- ppt(Microsoft PowerPointの独自フォーマットの拡張子)
- Office Open XML(Microsoft Office 2007で新たに採用された文書フォーマット)
- Office Open XML Document(文書用)
- Office Open XML Workbook(表計算用)
- Office Open XML Presentation(プレゼンテーション用)
- OpenDocument
- Uniform Office Format
データ記述フォーマット
編集- Adobe Illustrator (AI)
- Adobe Photoshop (PSD)
- CSS
- CSV
- PostScript
- SGML
- TOML
- XML
画像・図形
編集3D
編集- Standard Triangulated Language (STL)
- Wavefront .objファイル (OBJ)
- PLY (ファイル形式) (PLY)
- Additive Manufacturing File Format (AMF)
- 3MF (3MF)
- X3D (X3D)
ラスターイメージ
編集- BMP (Windowsビットマップ)
- DPX
- FlashPix
- GIF
- HD Photo
- JPEG
- JPEG 2000
- JPEG XR
- MAG
- OpenEXR
- PICT
- PNG
- RAW画像
- TGA
- TIFF
- XBM (X11ビットマップ)
ベクターイメージ
編集音声
編集- MP3 (MPEG-1 Audio Layer-3)
- mp3PRO
- AAC (Advanced Audio Coding)
- ALAC (Apple Lossless Audio Codec)
- WAV (RIFF Waveform Audio Format)
- WMA (Windows Media Audio)
- AIFF (Audio Interchange File Format)
- AU
- Ogg Vorbis
- RealAudio
- FLAC (Free Lossless Audio Codec)
- Monkey's Audio
楽曲
編集- Standard MIDI File (SMF)
- EUP (EUPHONY) - FM TOWNS標準の楽曲フォーマット
- MML (Music Macro Language)
- SMAF (Synthetic music Mobile Application Format)
動画
編集- AVI (Audio Video Interleave)
- ASF (Advanced Systems Format)
- FLV (Flash Video)
- OGM (Ogg Media)
- OGG (Ogg file)
- MPEG (Moving Picture Experts Group)
- MP4 (MPEG-4 Part 14)
- MOV (QuickTime Movie)
- RealVideo
- VG2
- DivX (DivX Media Format)
時間軸を持つもの
編集- アニメーションGIF
- MNG (Multiple-image Network Graphics)
- SWF (Macromedia Shockwave Flash)
- SMIL (Synchronized Multimedia Integration Language)
ファイルアーカイブ(圧縮など)
編集- 7z
- ACE
- AFA
- bzip2
- DGCA (Digital G Codec Archiver)
- CAB
- tar
- GCA (G Compression Archiver)
- gzip
- LHA (LZH) / LHarc
- RAR
- ZIP
- StuffIt
- Compact Pro
オブジェクトファイル
編集- EXEフォーマット
- COMフォーマット
- a.out
- ELF (Executable and Linkable Format)
- PEF (Preferred Executable Format)
- Mach-O
- S-record
- dyld
通信関連
編集その他
編集- EDIF (Electronic Design Interchange Format) - 電子設計データ
ファイルフォーマットと関連づけ
編集特定のファイルフォーマットと、それを開くアプリケーションソフトウェアを登録しておき、操作を行いたいファイルを選択した際にアプリケーションソフトウェアを選ぶ手間を省くための動作を関��づけ (association) という。関連づける手法はオペレーティングシステムなどの環境により異なる。例えばWindowsやOS/2では拡張子によって対応するアプリケーションを選択する(Windowsではレジストリに登録する。OS/2ではWPSの.INIファイルに情報が格納される)。
Mac OSでは、ファイルのメタデータとしてクリエータとタイプというデータがある。ファイルシステムのHFSとHFS+、ファイル転送プロトコルのAFPではこれらは保持されるが、FTP、HTTP、電子メール等を介してファイルをやりとりする場合は、クリエータとタイプを保持するフォーマット(Macバイナリ、AppleSingle、AppleDouble、BinHex等)に変換するか、Mac OS用のアーカイブフォーマット(StuffIt、MacLHA等)を用いる必要がある。 macOSではクリエータとタイプがあればそれを優先するが、なければ拡張子による対応づけが利用される。
脚注
編集- ^ "ファイルは、その中身が意味する内容や目的によって、情報の記録の仕方が変わります。これを「ファイルフォーマット」(file format) と言います。" ファイルとディレクトリの概念. 京都産業大学 - コンピュータ・リテラシ. 2022-12-27閲覧.
関連項目
編集外部リンク
編集- 拡張子辞典(ccfa.info)
- dotwhat.net - File extension and file format information. Information on opening, editing an creating file extensions.
- FileTypes.jp - ファイル拡張子とファイルの種類
- Manpage of SUFFIXES(LinuxのManpageの日本語訳)