パキスタン・ムスリム連盟ナワーズ・シャリーフ派
パキスタン・ムスリム連盟ナワーズ・シャリーフ派(ウルドゥー語: پاکستان مسلم لیگ ن、英語: Pakistan Muslim League (Nawaz)、略称:PML-N)は、パキスタンの保守政党。パキスタン・ムスリム連盟ナワーズ派、パキスタン・ムスリム連盟シャリーフ派(または「シャリフ派」)などと表記される場合もある。記事立項時近くにもパキスタン・イスラム教徒連盟シャリフ派[4]とされた例もあり、定まった訳はないとも言える。
パキスタン・ムスリム連盟 ナワーズ・シャリーフ派 ウルドゥー語: پاکستان مسلم لیگ ن 英語: Pakistan Muslim League (Nawaz) | |
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党旗 | |
総裁 | ナワーズ・シャリーフ |
成立年月日 | 1988年11月16日 |
国民議会議席数 |
98 / 336 (29%) |
元老院議席数 |
19 / 96 (20%) |
政治的思想・立場 |
保守主義 経済的自由主義 パンジャーブ民族主義 右派ポピュリズム 中道右派[1][2][3] |
シンボル | 虎 |
公式サイト | PMLN Official |
歴史
編集結党
編集軍事独裁者ムハンマド・ジア=ウル=ハク大統領の下でパンジャーブ州首相だったナワーズ・シャリーフがハク大統領の飛行機事故死後の1988年11月16日、パキスタン・ムスリム連盟から自派を分裂させて結成。80年代末から90年代にかけてベーナズィール・ブットー率いるパキスタン人民党(PPP)と熾烈な政権争いを繰り広げた。1998年にパキスタンが核実験を行った際の与党でもある。
反クーデター政権
編集しかし1999年にパキスタン軍トップのパルヴェーズ・ムシャラフを解任しようとしたシャリーフ首相が軍のクーデターで打倒され、後に亡命を強いられると、党は禁止こそされなかったが野党暮らしを強いられた。この間、シャリーフは亡命先のサウ��アラビアから党を指導しようとしたが、ザファルッラー・カーン・ジャマーリー(のち首相)ら、党内の親ムシャラフ派がパキスタン・ムスリム連盟カーイデ・アーザム派(PML-Q)を結成し分裂、少数政党に転落するなど苦しい立場に置かれた。そのため政敵ベーナズィール・ブットーのパキスタン人民党(PPP)と提携するようになった。
2007年からパキスタンで民主化運動が活発化し、ムシャラフ大統領に抵抗する一大運動に発展すると、ベーナズィール・ブットーの暗殺を経て2008年のパキスタン下院総選挙で第2党となり、PPPのユースフ・ラザー・ギーラーニー率いる連立政権と組み、ムシャラフを大統領辞任に追い込んだ(後任の大統領はベーナズィール・ブットーの夫でPPPのアースィフ・アリー・ザルダーリー)。
最近の動向
編集その後パキスタン人民党(PPP)との確執から野党に転じるが、2013年5月11日に執行された総選挙ではザルダーリー大統領率いるPPP政権の汚職体質や経済無策への批判票を一手に引き受け、またイスラーム過激派のパキスタン・ターリバーン運動からも対話の窓口として指名される形で大勝した[5]。
しかし、2017年にシャリーフが首相を失職し、娘のマリヤムとともに汚職容疑で収監されると党勢は悪化。翌年の2018年7月25日に執行された総選挙ではパキスタン下院のみならず、牙城のパンジャーブ州でも政権をパキスタン正義運動(PTI)に明け渡した[6]。その後、2022年4月にナワーズの弟のシャバズ・シャリフが新首相となり、下院の与党に復帰した。
2024年2月8日に執行された総選挙では直後にはPML-Nとイムラン・カーン元首相率いるPTIの双方が勝利宣言するなど混迷を極めた[7]。選挙の結果、264議席中、PTIが支援する無所属議員が93議席を獲得し議会内最大勢力となり、PML-Nが75、パキスタン人民党(PPP)が54議席を獲得した。2月13日、PML-NとPPPなど6党が連立政権樹立で合意し、新首相にシャバズ・シャリフ前首相を再び擁立することとなった[8]。
なお党の地盤はナワーズ・シャリーフの出身地でもあるパンジャーブ州に大きく依存しており、他州ではそれほど圧倒的な勢力を有しているわけではない[9]。特に南部シンド州では、パキスタン人民党などに大きく水をあけられている。また(この党に限らずパキスタンの「ムスリム連盟」を称する政党すべてに言えることだが)国父ムハンマド・アリー・ジンナーらによる全インド・ムスリム連盟の後継政党を名乗っているが、同党は1958年のアイユーブ・ハーン(のち元帥)によるクーデターで解散に追い込まれているため、直接の関連性はない[10]。
脚注・出典
編集- ^ “Sharif declares victory for his party in Pakistan vote”. Hindustan Times. (12 May 2013)
- ^ Nawaz Sharif declares his party victorious in Pakistan vote, Al Arabiya
- ^ “Nawaz Sharif Set for Third Term as PM”, India Times, (12 May 2013)
- ^ 時事通信による
- ^ パキスタン総選挙、野党第1党に 米との関係焦点(日本経済新聞 2013/5/12)
- ^ Military Desk. “Pakistan Muslim League (N)”. Global Security. 2 November 2012時点のオリジナルよりアーカイブ。23 February 2012閲覧。
- ^ “パキスタン総選挙、カーン氏・シャリフ氏双方が勝利宣言 混迷一段と”. ロイター. (2024年2月10日) 2024年2月15日閲覧。
- ^ “パキスタン旧与党が連立合意 シャバズ・シャリフ前首相の再任目指す”. 朝日新聞. (2024年2月14日) 2024年2月15日閲覧。
- ^ 萬宮健策「パキスタンにおける政党の位置づけ」2.パキスタンにおける政治の特徴 を参照
- ^ 「中東・イスラーム諸国の民主化」データベース » パキスタン » パキスタン・政党