アン・フランシス
アン・フランシス(Anne Francis、 1930年9月16日 - 2011年1月2日)はアメリカ合衆国の女優。SF映画『禁断の惑星』(1956年)のアルティラ役と、テレビドラマ『ハニーにおまかせ』(1965–1966年)の主人公である女性探偵ハニー・ウェスト役で知られている。ハニー役でゴールデングローブ賞を受賞し[1]、エミー賞にノミネートされた[2]。
アン・フランシス Anne Francis | |||||||||
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1950年代の宣材写真 | |||||||||
本名 | Anne Lloyd Francis | ||||||||
生年月日 | 1930年9月16日 | ||||||||
没年月日 | 2011年1月2日(80歳没) | ||||||||
出生地 | ニューヨーク州オシニング | ||||||||
死没地 | カリフォルニア州サンタバーバラ | ||||||||
国籍 | アメリカ合衆国 | ||||||||
職業 | 女優 | ||||||||
ジャンル | 映画・テレビドラマ | ||||||||
活動期間 | 1936年 - 2006年 | ||||||||
配偶者 |
Bamlet Lawrence Price, Jr. (1952–1955) Dr. Robert Abeloff (1960–1964) | ||||||||
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生い立ち
編集1925年と1930年の両親の結婚登録と国勢調査の記録により、彼女が(フランシスではなく)アン・マーヴァックとして生まれたとする誤った情報源に反し[3][4]、両親の名前がフィリップ・ウォード・フランシス(1900–1974年)とエディス・フランシス(旧姓アルバートソン、1901–1995年)であることが確認できる[5][6]。フランシスは1930年にニューヨーク州オシニングで生まれた[7][8]。
当時は世界恐慌でアメリカの経済が悪化していたため、家族を助けるために5歳からモデルとして活動し、11歳でブロードウェイで女優としてデビューした[9][10]。
映画
編集1947年、『This Time for Keeps』で銀幕デビューを果たす。『So Young, So Bad』(1950年)、『奥様は芳紀十七才』(1954年)、『日本人の勲章』で助演した後、『暴力教室』(1955年)で初主演を射止めた。彼女の最も知られる役は、オスカーにノミネートされた古典SF映画『禁断の惑星』(1956年)のアルティラである。
『Girl of the Night』(1960年)でヒロインの挑発的な高級コールガールを演じ、1965年、ウィリアム・コンラッド監督のネオ・フィルム・ノワール『Brainstorm』で主演。1968年、長編映画『ファニー・ガール』でジョージア・ジェームズを演じ、翌年、喜劇映画『Hook, Line & Sinker』でジェリー・ルイス演じるピーター・インガソー���の妻ナンシーを演じた。また、1969年の冒険映画『黄金の銃弾』で主演のバート・レイノルズと共演した[11]。
彼女の身体的特徴として、ブロンドの髪、印象的な青い目、下唇のすぐ右にあるホクロが挙げられる。ホクロについては出演作の脚本の1つで言及されてすらあった[10]。
テレビ
編集フランシスはテレビで成功を収め、1960年代、1970年代、1980年代と、頻繁にゲストスターとして出演した。CBSの西部劇ドラマ『ローハイド』の1959年のエピソードに出演。『アンタッチャブル』のエピソード「血ぬられた鍵」(原題: The Doreen Maney Story、1960年)のタイトルロールとしてゲスト出演し、『トワイライト・ゾーン』に2回(1960年、1963年)ゲスト出演した。また、『アルフレッド・ヒッチコック・プレゼンツ』に2回、『ザ・アルフレッド・ヒッチコック・アワー』に3回出演した[11]。『ルート66』にも、1961年の2つのエピソードに異なる役で出演している。
1962年、1944年の同名映画『我が道を往く』に基づくジーン・ケリー主演のテレビドラマ『わが道を行く』にゲスト出演。1964年、『ザ・レポーター』に2回ゲスト出演。同年、『0011ナポレオン・ソロ』に同一の役で2回に亘りゲスト出演した。西部劇ドラマ『バージニアン』に2度(1964年、1970年)ゲスト出演。
1965年、フランシスは愛車コブラを駆り、ペットとしてオセロットを飼うセクシーな私立探偵ハニー・ウェストとしてキャスティングされた。このキャラクターは先ずABCのテレビドラマ『バークにまかせろ』で紹介され、その後1シーズン全30回続いた連続テレビドラマ『ハニーにおまかせ』としてスピンオフされた。その名声は実際の放映期間よりも遥かに長く続いた。1967年、『逃亡者』、『インベーダー』のエピソード「つかの間の勝利」にゲスト出演。『スパイ大作戦』1969年のエピソード「盗まれた化学式」にジリアン・コルビー役で出演。
1971年、『パパ大好き』最終シーズンの初めに、スコットランドのシシアンブリッジの領主ファーガス・マクベイン・ダグラスと結婚して、王族として彼の故郷に戻るボウリング場のウェイトレス、テリ・ダウリングを演じた(フレッド・マクマレイは、スティーヴ・ダグラスとファーガス・マクベイン・ダグラスの2役を演じた)。『刑事コロンボ』に「死の方程式」(1972年)、「溶ける糸」(被害者役、1973年)の2度に亘り登場。1973年、『名探偵ジョーンズ』にゲスト出演。
1974年、『燃えよ! カンフー』の「遺言状が女の館に灯をともす」の回に娼家の女主人、アイダ役で出演。1975年、『爆走トラック16トン』にゲスト出演。1976年、『ワンダーウーマン』のエピソード「悪い奴ほど美女がお好き」にローラ・フリン役で出演。1977年、第二次世界大戦のドラマ『Baa Baa Black Sheep』の2つのエピソードで看護師長グラディス・ホープ少佐として登場。『エディ・キャプラ・ミステリー』の「How Do I Kill Thee?」の回にメリッサ・オズボーン役で出演[11]。
『ダラス』では1980年から81年のシーズン、ミッチとアフトンの母親アーリス・クーパーとして複数回出演した。1984年、探偵ドラマ『リップタイド探偵24時』の最初の数話で「ママ・ジョー」を演じた[11][12]。同年、『ジェシカおばさんの事件簿』の第1回にアン・ロイド・フランシス名義でゲスト出演し、さらに2つのエピソード(1986年、1990年)にゲスト出演した。1984年12月、再びアン・ロイド・フランシス名義で『ラブ・ボート』のクリスマスをテーマとするエピソード「Noel's Christmas Carol」にキム・ランクフォードが演じたキャロルの母親役でゲスト出演した。1989年、『マトロック』と『ザ・ゴールデン・ガールズ』にゲスト出演。
1996年、『ウイングス』のエピソード「The Lady Vanishes」に、1940年代のギャングの情婦タイプのヴェラ役で登場。1997年、『Home Improvement』のエピソード「A Funny Valentine」にティム・アレンの高校の同級生の母親リディ役で出演。1998年、『ドリュー・ケリーDEショー!』の2つのエピソードにドリューのガールフレンド、ニッキーの母親役でゲスト出演。フランシスの最後のテレビ出演は、『WITHOUT A TRACE/FBI 失踪者を追え!』の2004年のエピソード「人生の最後に」であった[11]。
私生活
編集1952年5月から1955年4月まで、アメリカ空軍パイロットのバムレット・ローレンス・プライス・ジュニアと結婚していた[3]。1960年から1964年まで、ロバート・アベロフと結婚。1964年にアベロフと離婚した後は再婚することはなかった[13]。
フランシスは民主党員で、1952年アメリカ合衆国大統領選挙ではアドレー・スティーブンソン候補を支持した[14]。
フランシスとアベロフには、ジェーン・エリザベス・アベロフ(1962年3月21日生誕)という1人娘がいた[15]。1970年、フランシスはマーガレット・"マギー"・ウェストを養子にした[16]。カリフォルニアで未婚の人物に認められた最初の養子の1人であった[3]。
1982年、「An Inner Journey」というサブタイトルを付けた、自伝『Voices from Home』を上梓した[17]。彼女は本の表紙に「この本は私の精神的な暴露です。それは私たちの存在の本質であり、私たちの目には見えないが最も重要な部分の成長に貢献している精神と魂の内面の働きについてです。」と書いた[18]。
評価
編集死去
編集2007年、アン・フランシスは肺癌と診断された。彼女は自身のウェブサイトでフォロワーたちに自らの進捗状況を知らせていた。2011年1月2日、膵臓癌による合併症でカリフォルニア州サンタバーバラの老人福祉施設で80歳で死去[8]。彼女は荼毘に付され、遺灰は海に撒かれた[20]。
主な出演作品
編集映画
編集- ジェニーの肖像 Portrait of Jennie (1948)
- サンマー・ホリデイ Summer Holiday (1948)
- 嵐を呼ぶ太鼓 Lydia Bailey (1952)
- 奥様は芳紀十七才 Susan Slept Here (1954)
- 悪徳警官 Rogue Cop (1954)
- 日本人の勲章 Bad Day at Black Rock (1955)
- 愛欲と戦場 Battle Cry (1955)
- 暴力教室 Blackboard Jungle (1955)
- 禁断の惑星 Forbidden Planet (1956)
- Z旗あげて Don't Go Near the Water (1957)
- 翼の男 The Crowded Sky (1960)
- サタンバグ The Satan Bug (1965)
- ファニー・ガール Funny Girl (1968)
- 猛烈なる復讐 More Dead Than Alive (1968)
- 黄金の銃弾 Impasse (1969)
- アガサ 愛の失踪事件 Agatha (1979)
- バーチャルウェポン The Double 0 Kid (1992)※オリジナルビデオ作品
TVドラマ
編集- ローハイド Rawhide (1959)
- 南海の冒険 Adventures in Paradise (1959)
- トワイライト・ゾーン The Twilight Zone (1960,63)
- ルート66 Route 66 (1961)
- バークにまかせろ Burke's Law (1963,65)
- 0011ナポレオン・ソロ The Man from U.N.C.L.E. (1964)
- ハニーにおまかせ Honey West (1965-66)
- スパイ大作戦 Mission:Impossible (1966)
- 逃亡者 The Fugitive 「愛の価格」(1967)
- インベーダー
- 恐怖のジェット旅客機 Lost Flight (1970)
- じゃじゃ馬西部を行く Wild Women (1970)
- 荒野の侵略者 The Intruders (1970)
- 刑事コロンボ Columbo
- 死の方程式 Short Fuse (1972)
- 溶ける糸 A Stitch in Crime (1973)
- 鬼警部アイアンサイド Ironside (1972,74)
- チャーリーズ・エンジェル Charlie's Angels (1978,80)
- トム・ハンクスの大迷宮 Mazes and Monsters (1982)
- リップタイド探偵24時 Riptide (1984)
- ジェシカおばさんの事件簿 Murder, She Wrote (1984,86,90)
- ラグナ・ヒート/炎の殺人者 Laguna Heat (1987)
- 新・バークにまかせろ Burke's Law (1994)
- 刑事ナッシュ・ブリッジス Nash Bridges (1998)
- WITHOUT A TRACE/FBI 失踪者を追え! Without a Trace (2004)
脚注
編集- ^ “The 23rd Annual Golden Globe Awards (1966)”. GoldenGlobes.com. HFPA. 2020年8月1日閲覧。
- ^ “18th Primetime Emmys Nominees and Winners – Outstanding Continued Performance by an Actress in a Leading Role in a Dramatic Series”. Emmys.com. Academy of Television Arts & Sciences. 2020年8月1日閲覧。
- ^ a b c “Anne Francis”. The Daily Telegraph (London, UK: TMG). (2011年1月13日). ISSN 0307-1235. OCLC 49632006 2020年8月1日閲覧。
- ^ Thomas, Bob (2011年1月7日). “Anne Francis; at 80; actress was television's 'Honey West'”. The Boston Globe (Boston, MA: The New York Times Company). ISSN 0743-1791 2020年8月1日閲覧。
- ^ Yorktown Heights, New York
Enumeration District No. 375 or 376 (illegible)
Sheet 5B
April 8, 1930
Philip Ward Francis (aged 29)
Edith Francis (aged 29)
Edna Francis (Philip's mother; aged 59)
Helen Albertson (sister-in-law; aged 15)
New York, State Census, 1925
Philip Ward Francis (aged 24)
Edith Francis (aged 24)
Edna Francis (Philip's mother; aged 54)
PARENTS MARRIAGE INFO
New York, New York, Marriage Index 1866-1937
Certificate Number: 6288
Philip W Francis
Gender: Male
Marriage Date: 24 Feb 1923
Marriage Place: Manhattan, New York, USA
Spouse: Edith A Albertson - ^ Wagner, Laura. Anne Francis: The Life and Career, McFarland & Company, 2011; ISBN 978-0-7864-6365-7.
- ^ Some sources incorrectly cite Francis' year of birth as 1932
- ^ a b McLellan, Dennis (2011年1月3日). “Anne Francis dies at 80; costarred in the 1950s science-fiction classic 'Forbidden Planet'”. Los Angeles Times 2020年8月1日閲覧。
- ^ Weaver, Tom. Double Feature Creature Attack: A Monster Merger of Two More Volumes of Classic Interviews, p. 162 (McFarland & Company, 2003); ISBN 0-7864-1366-2
- ^ a b Corliss, Richard (2011年1月8日). “Remembering Anne Francis (1930–2011)”. entertainment.time.com 2020年8月1日閲覧。
- ^ a b c d e Anne Francis - IMDb
- ^ Kleiner, Dick (1984-03-20). “Anne Francis is a victim of 'Riptide'”. Newspaper Enterprise Association, Harlan Daily Enterprise (Harlan, Kentucky) 68: 7 2020年8月1日閲覧。.
- ^ Byrge, Duane (2011年1月3日). “‘Forbidden Planet’ Star Anne Francis Dies at Age 80”. Hollywood Reporter 2020年8月1日閲覧。
- ^ Motion Picture and Television Magazine, November 1952, p. 33, Ideal Publishers
- ^ Michael, Paul and Parish, James Robert. The American Movies Reference Book: the Sound Era, p. 110. (Celestial Arts), 1969; ISBN 978-0130281340.
- ^ “Anne Francis – The Private Life and Times of Anne Francis. Anne Francis Pictures”. Glamourgirlsofthesilverscreen.com. 2020年8月1日閲覧。
- ^ “Voices from home : an inner journey”. WorldCat. 2020年8月1日閲覧。
- ^ Francis, Anne (1982). Voices from Home: An Inner Journe (1st ed.). Celestial Arts. p. dust jacket. ISBN 978-0890873403 . "Because I am an actress, I am sure the first response to my having written a book will be, "Aha, another Hollywood biography." Since the market is flooded with biographies of professional revelations from many luminaries and super stars, the next response might quite possibly be, 'Who cares?'. I care! I care because VOICES FROM HOME is not a book about hidden skeletons, social calendars, and name revealing dalliances. It is far more intimate. It is my spiritual expose. It is about our essence of being, the unexplicable reality of mysticism, psychic phenomena, and the inner workings of mind and spirit which contribute to the growth of the invisible and most important part of us; hidden from the glare of lights and the camera's eye."
- ^ TV Guide Book of Lists. Running Press. (2007). p. 201. ISBN 0-7624-3007-9 2020年8月1日閲覧。
- ^ Wilson, Scott (2016). Resting Places: The Burial Sites of More Than 14,000 Famous Persons, 3d ed.. McFarland. p. 256. ISBN 978-0786479924 2020年8月1日閲覧。