第1期順位戦

1947年度の順位戦

第1期順位戦(だい1き じゅんいせん)は、1947年度(1946年5月 - 1947年2月)の順位戦である。順位戦は、将棋タイトル戦の一つ「名人戦」の予選にあたる棋戦であり、「第1期順位戦」は「第6期名人戦」の予選にあたる。「順位戦」は今期が初めての実施であり、参加棋士を3つのクラスに分けて実施された。

第1期 順位戦 / 第6期 名人戦
開催期間 第1期順位戦 1946年5月 - 1947年2月
第6期名人戦 1947年3月4日 - 1947年6月6日
第5期名人 木村義雄(通算5期目)
挑戦者 塚田正夫
第6期名人 塚田正夫(初)
△ 昇級 △
次期A 升田幸三
次期B 丸田祐三 / (高柳敏夫)[1]
▼ 降級 ▼
次期B 村上真一[2] / 渡辺東一 / 小泉兼吉 /
金易二郎 / 梶一郎 / 斎藤銀次郎 / 金子金五郎
次期C 松下力[3] / 荒巻三之 / 藤内金吾 /
飯塚勘一郎 / 宮松関三郎 / 平野信助
引退ほか
引退 宮松関三郎 / 平野信助 / 上田三三
順位戦
第5期名人戦第2期順位戦
第7期名人戦
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第6期名人戦(だい6き めいじんせん)は、1947年度(1947年3月4日 - 1947年6月6日)に実施されたタイトル棋戦「名人戦」である。第6期名人のタイトルをかけ、「第5期名人」および第1期順位戦で選出された「挑戦者」により七番勝負で争われた。

ここでは「第1期順位戦」および「第6期名人戦」について、あわせて記述する。

第6期名人戦七番勝負

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名人戦七番勝負は、塚田正夫八段が木村義雄名人を4勝2敗(1持将棋2千日手)で下し、名人位を奪取した[4]

対局者 第1局 第2局 第3局 第4局 第5局 第6局 第7局
1947年
3月4日
1947年
3月10日
1947年
3月19日
1947年
3月23日
1947年
4月9日
1947年
5月6日・13日
1947年
5月20日・6月6日
木村義雄名人 千●
塚田正夫八段 千○ 千○ 名人位奪取

持:持将棋 千:千日手

対局場は東中野・モナミ[5]、牛込・河田町会館ほか。

順位戦のルール

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第5期名人戦までは主に八段の全棋士による名人挑戦者決定リーグ戦を2年がかりで行っていたが、この年からA、B、C級の3クラスに振り分け1年をかけて順位を決める方式に改められた。名人への挑戦権は八段戦の1位に与えられる。

第1期順位戦のルール

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  • 八段戦、六・七段戦(七段と六段)、四・五段戦(五段と四段)の3クラスに振り分けてリーグ戦を行う。
    • 「第1期順位戦」の八段戦は次期A級、六・七段戦は次期B級、四・五段戦は次期C級にそれぞれ相当する。
  • 「第1期順位戦」の順位により「第2期順位戦」のA級・B級・C級の3クラスへの振り分けを決定する。
    • 全体1位が「第6期名人戦」で名人挑戦(名人戦の敗者は第2期A級1位となる)
    • 全体2位から8位は第2期A級へ振り分け。
    • 全体9位から24位は第2期B級へ振り分け。
    • 全体25位以下は第2期C級へ振り分け。
  • 順位は持ち点制度より決定する[6]
    • 勝ち:120点、負け:20点として各人の1局当たりの平均点を算出する。
    • ただし、八段戦は平均点に35点を加算、四・五段戦は平均点に35点を減算する。
    • 持ち点順による「第1期順位戦」の成績順に基づき「第2期順位戦」での順位(開始時)を決定する。
      ただし、六・七段戦、四・五段戦からA級・B級への昇級者は、八段戦、六・七段戦での勝ち越し者よりは下位となる。
      • 六・七段戦で12勝2敗の成績を収めた升田幸三の得点(106点)は、八段戦で6勝7敗の花田長太郎の得点(101点)を上回るため、第2期A級7位は升田、A���8位は花田となった。
升田幸三の得点(12勝2敗、六・七段戦)= 106点(=(12勝×120点+2敗×20点)÷14局)
花田長太郎の得点(6勝7敗、八段戦)= 101点(= 35点 +(6勝×120点+7敗×20点)÷13局)
  • 八段戦、六・七段戦は総当たり、四・五段戦は2組に分かれて総当り戦を行う。
  • 順位戦の持ち時間は各7時間(名人戦は持ち時間各8時間の1日制)。

順位戦参加棋士

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八段戦(14名) 八段 土居市太郎金易二郎花田長太郎金子金五郎萩原淳斎藤銀次郎坂口允彦
塚田正夫渡辺東一小泉兼吉梶一郎加藤治郎大野源一村上真一
六・七段戦(15名) 七段 宮松関三郎松下力大和久彪飯塚勘一郎升田幸三
六段 平野信助荒巻三之長谷川清二郎松田茂役小堀清一北楯修哉藤内金吾
松田辰雄大山康晴高島一岐代
四・五段戦(29名) 五段 加藤恵三市川一郎山本武雄高柳敏夫富沢伝助岡崎史明志沢春吉
奥野基芳藤川義夫板谷四郎山中和正本間一雄花村元司
四段 橋爪敏太郎間宮純一京須行男原田泰夫佐瀬勇次吉田六彦丸田祐三
松浦卓造金高清吉廣津久雄山川次彦加藤博二星田啓三南口繁一
北村秀治郎上田三三
不参加 木見金治郎八段、建部和歌夫八段、中井捨吉六段、和田庄兵衛六段、畝美与吉五段
野村慶虎五段、角田三男四段、鈴木禎一四段、永沢勝雄四段

第1期順位戦の結果

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  •    :名人挑戦・次期昇級    :降級
  • 昇・降級者を除いて八段戦は次期A級、六・七段戦を次期B級、四・五段戦を次期C級に振り分け。

八段戦

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名人挑戦1名、降級(次期B級)下位7名

成績順 氏名 段位 年齢 持将棋 平均点(+35) 備考
1 塚田正夫 八段 32 10 3 132 名人挑戦(プレーオフ2勝)
2 大野源一 八段 35 10 3 132 プレーオフ(1勝1敗)
2 萩原淳 八段 42 10 3 132 プレーオフ(0勝2敗)
4 土居市太郎 八段 59 8 5 117
4 加藤治郎 八段 36 8 5 117
6 坂口允彦 八段 38 7 6 109
7 花田長太郎 八段 49 6 7 101 残留リーグ戦 2勝0敗
8 村上真一 八段 49 6 7 101 降級(残留リーグ戦 1勝1敗)[2]
8 渡辺東一 八段 41 6 7 101 降級(残留リーグ戦 0勝2敗)
10 小泉兼吉 八段 46 5 7 1 97 降級
11 金易二郎 八段 56 4 9 86 降級(引退)
11 梶一郎 八段 34 4 9 86 降級
13 斎藤銀次郎 八段 42 3 9 1 82 降級
14 金子金五郎 八段 45 3 10 78 降級
  • 小泉-斎藤戦は持将棋。

当落線上で、3名が同率で並んだためリーグ戦でプレーオフを行った。

  • 名人挑戦者決定リーグ戦(塚田2勝、大野1勝1敗、萩原2敗)で塚田八段が名人挑戦者となった。
  • 残留リーグ戦(花田2勝、村上1勝1敗、渡辺2敗)で花田八段が第2期A級となった。

六・七段戦

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昇級(次期A級)1名、降級(次期C級)下位6名

成績順 氏名 段位 年齢 持将棋 平均点 備考
1 升田幸三 七段 29 12 2 106 昇級
2 大山康晴 六段 24 11 3 99
3 高島一岐代 六段 30 10 3 1 95
4 小堀清一 六段 35 10 4 91
5 松田辰雄 六段 30 8 6 77
5 長谷川清二郎 六段 不明 8 6 77
5 松田茂行 六段 25 8 6 77
5 北楯修哉 六段 34 8 6 77
9 大和久彪 七段 33 7 6 1 74
10 松下力 七段 34 7 7 70 降級[3]
11 藤内金吾 六段 54 5 9 55 降級
11 荒巻三之 六段 32 5 9 55 降級
13 飯塚勘一郎 七段 52 3 10 1 45 降級
14 宮松関三郎 七段 61 1 12 1 31 降級(引退)
15 平野信助 六段 55 0 14 20 降級(引退)
  • 高島-大和久戦、飯塚-宮松戦は持将棋。

四・五段戦

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昇級(次期B級)1名

成績順 氏名 段位 年齢 持将棋 平均点(-35) 備考
1 丸田祐三 四段 28 12 2 71 1組 昇級
2 高柳敏夫 五段 27 11 3 64 1組 (次期B級[1]
3 加藤博二 四段 23 10 3 1 60 2組
4 松浦卓造 四段 32 10 4 56 1組
4 山川次彦 四段 27 10 4 56 2組
6 山中和正 五段 32 9 4 1 53 2組
6 金高清吉 四段 28 9 4 1 53 2組
8 富沢伝助 五段 26 9 5 49 1組
8 橋爪敏太郎 四段 38 9 5 49 1組
8 原田泰夫 四段 24 9 5 49 1組
8 佐瀬勇次 四段 28 9 5 49 1組
8 星田啓三 四段 30 9 5 49 2組
13 市川一郎 五段 44 8 6 42 1組
13 藤川義夫 五段 38 8 6 42 2組
15 奥野基芳 五段 41 7 6 1 39 2組
16 本間一雄 五段 27 7 7 35 2組
16 花村元司 五段 29 7 7 35 2組
16 北村秀治郎 四段 39 7 7 35 2組
19 山本武雄 五段 30 6 8 28 1組
19 岡崎史明 五段 39 6 8 28 1組
19 間宮純一 四段 38 6 8 28 1組
22 板谷四郎 五段 33 5 9 21 2組
22 広津久雄 四段 24 5 9 21 2組
22 南口繁一 四段 28 5 9 21 2組
25 志沢春吉 五段 48 4 10 14 2組
25 京須行男 四段 33 4 10 14 1組
27 加藤恵三 五段 38 3 11 6 1組
27 吉田六彦 四段 37 3 11 6 1組
29 上田三三 四段 54 1 13 -8[7] 2組 引退
  • 加藤博-山中戦、金高-奥野戦は持将棋。

参考資料

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脚注

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  1. ^ a b 休場者や引退者が生じたため、B級に繰り上げられた。
  2. ^ a b 降級となったが、休場者が生じたため、補欠としてA級に繰り上げられた。
  3. ^ a b 降級となったが、休場者や引退者が生じたため、補欠としてB級に繰り上げられた。
  4. ^ 名人戦・順位戦|棋戦”. 日本将棋連盟. 2021年7月23日閲覧。
  5. ^ 幻のモナミ ~東中野に集った文化人~”. 2023年5月21日閲覧。
  6. ^ 第1期順位戦について(ルール編)”. demae.3rin.net. 2021年3月9日閲覧。
  7. ^ 平均点:( ( 120点 × 1勝 + 20点 × 13敗 ) ÷ 14局 ) - 35点 ≒ -8点

外部リンク

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