マカク属
マカク属(マカクぞく、Macaca)は、哺乳綱霊長目オナガザル科に含まれる属。
マカク属 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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バーバリーマカク Macaca sylvanus
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分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Macaca Lacépède, 1799[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
タイプ種 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Macaca sylvanus (Linnaeus, 1758)[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
マカク属[2][3] | ||||||||||||||||||||||||||||||
分布
編集アフリカ大陸北西部、ユーラシア大陸南部、インドネシア、スリランカ、日本
バーバリーマカクを除いてアジアに分布する[4]。日本に分布するニホンザルは現生種の霊長類では(ヒトを除くと)最も北に分布する[4]。
形態
編集胴体は長く頑丈[5]。 頬袋があり、食べた物を一時的に蓄えることができる[5]。前肢よりも後肢が長い[5]。第1指は他の指と対向し、物をつかむことや樹上での活動に適している[5]。 出産直後のオス幼獣には空洞の大きな陰嚢がある[5]。
分類
編集
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Li et al. (2009) よりSINE法で推定した系統樹[6] |
アフリカ大陸北部が起源だと考えられている[7]。ス��インの中新世末期の地層からバーバリーマカクの化石が発見され、鮮新世にはイギリス南東部を含むヨーロッパ広域に分布していたと考えられている[7]。インドネシアの更新世の地層からはカニクイザルやブタオザル類と思われる化石が発見されている[7]。現生種の多くはユーラシア大陸に進入した後に東に移動し、鮮新世以降に種分化したとする説もある[7]。
亀頭の形態から、silenus-sylvanus種群(シシオザル-バーバリマカク群)・sinica種群(トクモンキー群)・fascicularis種群(カニクイザル群)・arctoides種群(ベニガオザル群)の4種群に区別する説もある[8][9][10]。一方でバーバリーマカクをアジア産現生種との共通祖先から初期に分岐した種とし、ベニガオザルをsinica種群に含める説もあり、分子系統解析では後者の説が有力とされる[9][6]。ベニガオザルはY染色体とミトコンドリアDNAで異なる種群に位置付けられることから、sinica種群とfascicularis種群の雑種が起源として考えられている[9][10]。
以下の現生種の分類・和名・英名は、日本モンキーセンター霊長類和名編纂ワーキンググループ (2018) に従う[3]。
- Macaca arctoides ベニガオザル Stump-tailed macaque[5]
- Macaca assamensis アッサムモンキー Assam macaque[5]
- Macaca cyclopis タイワンザル Formosan macaque
- Macaca fascicularis カニクイザル Long-tailed macaque
- Macaca fuscata ニホンザル Japanese macaque
- Macaca hecki ヘックモンキー Heck's macaque
- Macaca leonina キタブタオザル Northern pig-tailed macaque
- Macaca maura ムーアモンキー Moor macaque[11]
- Macaca mulatta アカゲザル Rhesus monkey
- Macaca munzala アルナーチャルマカク Arunachal macaque
- Macaca nemestrina ミナミブタオザル Southern pig-tailed macaque
- Macaca nigra クロザル Crested macaque
- Macaca nigrescens ゴロンタロマカク Gorontalo macaque
- Macaca ochreata ブーツモンキー Booted macaque
- Macaca pagensis パガイマカク Pagai macaque
- Macaca radiata ボンネットモンキー Bonnet macaque
- Macaca siberu シベルトマカク Siberut macaque
- Macaca silenus シシオザル Lion-tailed macaque[5]
- Macaca sinica トクモンキー Toque macaque
- Macaca sylvanus バーバリーマカク Barbary macaque
- Macaca thibetana チベットモンキー Tibetan macaque
- Macaca tonkeana トンケアンモンキー Tonkean macaque
化石種
編集- Macaca majori(サルデーニャ島産) - など
人間との関係
編集マカクはアフリカの言語でサルを指す語、さらにそれが転じたポルトガル語macacoに由来する[2]。
開発や放牧による生息地の破壊、狩猟、害獣としての駆除などにより生息数が減少している種もいる[4][5][11]。
日本ではマカカ属(マカク属)単位で特定動物に指定されている(特定外来生物に指定されているアカゲザル・カニクイザル・タイワンザルを除く)[12]。
画像
編集-
ベニガオザル
M. arctoides -
アッサムモンキー
M. assamensis -
タイワンザル
M. cyclopis -
カニクイザル
M. fascicularis -
ニホンザル
M. fuscata -
キタブタオザル
M. leonira -
ムーアモンキー
M. maura -
アカゲザル
M. mulatta -
ミナミブタオザル
M. nemastrina -
クロザル
M. nigra -
ボンネットモンキー
M. radiata -
シシオザル
M. silenus -
チベットモンキー
M. thibetana -
トンケアンモンキー
M. tonkeana
出典
編集- ^ a b Colin P. Groves, "Order Primates,". Mammal Species of the World, (3rd ed.), Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 111-184.
- ^ a b 岩本光雄「サルの分類名(その1:マカク)」『霊長類研究』第1巻 1号、日本霊長類学会、1987年、45-54頁。
- ^ a b 日本モンキーセンター霊長類和名編纂ワーキンググループ 「日本モンキーセンター 霊長類和名リスト 2018年3月版」(公開日2018年3月30日・2018年4月6日閲覧)
- ^ a b c 渡邊邦夫 「ニホンザル」「バーバリーマカク」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ4 インド、インドシナ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2000年、136-138頁。
- ^ a b c d e f g h i 渡邊邦夫 「ベニガオザル」「アッサムモンキー」「タイワンザル」「シシオザル」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ5 東南アジアの島々』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2000年、125-127頁。
- ^ a b Jing Li, Kyudong Han, Jinchuan Xing, Heui-Soo Kim, Jeffrey Rogers, Oliver A. Ryder, Todd Disotell, Bisong Yue, and Mark A. Batzer, "Phylogeny of the macaques (Cercopithecidae: Macaca) based on Alu elements," Gene, Volume. 448, Issue. 2, 2009, Pages 242-249.
- ^ a b c d 高井正成 「マカクとヒヒ:ユーラシア大陸におけるオナガザル亜科の進化プロセスに関する考察」『霊長類研究』第21巻 2号、日本霊長類学会、2005年、121-138頁。
- ^ 相見満・高畑由起夫「日本の哺乳類18 ニホンザル (シリーズ 日本の哺乳類 各論編)」『哺乳類科学』第33巻 2号、日本哺乳類学会、1994年、141-157頁。
- ^ a b c 毛利俊雄「頭蓋計測からみたニホンザルの進化」、京都大学霊長類研究所 編『霊長類進化の科学』京都大学学術出版会、2007年、63-76頁。
- ^ a b 豊田有「タイ王国に生息する野生ベニガオザルの社会生態学的研究:これまでわかったことと将来への展望」『霊長類研究』第39巻 1号、日本霊長類学会、2023年、35-44頁。
- ^ a b 渡邊邦夫 「ムーアモンキー」「クロザル」「メンタワイマカク」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ5 東南アジアの島々』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2000年、125-127頁。
- ^ 特定動物リスト (動物の愛護と適切な管理) (環境省・2018年4月6日に利用)